幕間

2/2
前へ
/108ページ
次へ
いつものように、神父は教会に戻っていた。 しかし、今回は少しばかり不思議な感覚に陥る。 「君は一体、どちらなんだ…?」 神父が扉の先で見たものは、二人の姉妹両方の景観だった。 しかし、今扉の前にいるのは少女一人。 仮面をした彼女が姉か妹かを知る術はなかった。 「彼女は強欲な姉妹。 どちらかなど在りはしない」 純白の男が神父の様子を面白そうに見てそう言った。 神父は思い返した。 そう、最後、姉妹は混ざり合うように闇に墜ちていった― 彼女たちを分かつこと自体無意味なのだと悟る。 「貴女達は、互いの欲望を叶えあおうとした。そこに欲は確かに存在しました。 けれど、その姉妹愛を利用し、強欲と称したのは周囲の醜き謀略です。 貴女達に罪はない。神は貴女達の愛らしい小さな欲に罰を与えはしません」 神父が感じたもう一つの違和感。 それは彼女達が、全てを捨て追われても、最後まで幸せを感じていたこと。 それはただ姉妹であるだけの幸せ。 そんな彼女達を強欲と呼ぶことは出来なかった。 「これで、この場に集いし罪の半分が赦された。 赦されざる罪の教会。 さぁ、残りの罪を貴方は赦せるでしょうか、神父様」 そう言って、神父の顔を見る。 男は、まるでこうなることを知っていたかのようだった。 神父は感じていた。この場の罪は、きっと赦しを得ることが出来るものなのだ。 それを確かめるためにも、残りの扉を確かめなくては。彼らの告悔を聞き、許すことが神父の使命なのだから。 そうして、また次の扉に手をかける。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加