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「へえ、馬車で三日もかかるのね」
女の子―ソニアに学舎を案内されながら、私は自分の故郷のことを話していた。
学舎はとても豪華で、私が驚き感動する度にソニアは面白そうに笑っていた。
ソニアは生まれも育ちも王都で、普通なら私には縁遠い存在なのに、田舎育ちの私を対等に扱ってくれた。
そして、故郷のことを話すととても興味深げに聞いていた。
「そう…だから、私が学校に通えるだけで本当は凄いことなの。
無理を言って神父様に推薦状を書いて頂いて…学費とかは村のみんなが払ってくれて…だから、えっと、私頑張らなくちゃって!」
「村全体が仲良しなのね、何だか羨ましいわ。
それで、ミレーユは頑張って何をしに来たの?」
私が無茶してまで王都に来た理由。
それを話すのは何だか少しくすぐったかった。
「私…先生になりたいの」
少し小声でそう答える。
そう、私は王都で色んなことを学んで、村で小さな学校…みたいなものを開いて、子供たちに勉強を教えるのが夢。
「立派な夢じゃない。
どうしてそんなに恥ずかしそうなの?」
「だ、だって私…」
私は赤面してしまう。馬鹿にされないか不安で、不相応なのはよく分かっている。
「文字すら、まともに読めないのよ」
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