第一の扉 ―色欲―

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翌日からの日々は、慌ただしくて、でもとても素敵な出来事の連続だった。 寮で出される食事は食べたことがないものばかりでとても美味しかった。 学校での初日は、私の授業を決めるために様々な講義を見学するというものだった。 他の学生は繰り上がりで学年を上がっているから必要ないけれど、編入扱いの私は一から取る科目を決めなくてはならない。 とても大変だった。 でも、それは科目を組むことが大変なのではなくて、私に学びたいことが多すぎるから。 神学、歴史学、数学、治療学、なかには剣術実技なんていうのもあって…沢山のなかから学ぶことを絞るのは私にとってとても大変なことだった。 ソニアが私の相談に乗ってくれて、とても心強かった。 それだけじゃない、部屋に帰るとソニアは何冊かの本を私に手渡してくれた。 「簡単な文字と歴史の本を借りてみたの。 授業を受けるまでに文字くらいは読めないとね」 そう言ってソニアは片目を瞑る。 「ソニア…ありがとうっ!」 私はその本たちを、時間が許す限り読みふけった。沢山のことを学びたい、その一心で…。 そういえば立派な図書館があったと思い出す。いつかあの図書館の本を全て読んでみたい。そんなことを夢見ながら…。 私は、そのときはまだ、幸せだった。
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