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2063年4月1日
この日本では学生などが入学式などで忙しくなる季節だ。
社会人でも会社に入社し、これから忙しくなるであろう。
そんな事を考えながら雲1つない空の下を歩く1人の青年がいた。
青年の名前は如月灯(キサラギ・アカリ)
とても男に付ける名前じゃないと、最初は思っていたのだが、段々と気に入ってしまった名前である。
アカリは今日ある筈の大学をサボり、バイト先へ向かっている最中だった。
別にバイトに行かなくてもよかったのだが、大学にいるよりはマシだった。
実際今日はシフトが入ってない。
単なる暇潰しである。
アカリのバイト先、由来亭(ユライテイ)は古くからある飲食店だ。
アカリはシフトの入ってない時も由来亭に行き、店長と雑談してる事が多い。
そしてその由来亭はアカリの家から徒歩3分の距離にある。
店員はアカリと店長、あとは人型アンドロイド一体だけである。
正直、人型アンドロイド一体で足りるみたいなのだが、特別にと雇ってくれたのだ。
しかも給料も以外と高い。
「さて・・・と」
由来亭の前に立つ。
店の扉にはまだ準備中の文字が書かれている。
そんなのお構い無しにアカリは店の中に入っていく。
「おはようございます、アカリ様。今日も学校をサボってここに来たのですか?」
店に入ると同時に女のような声が耳に入る。
「おはよう、ヒカリ。今日もとは失礼だな。ちゃんと危なくなったら行ってるだろ?」
「危なくなってからでは遅いのですよ?」
この声の主は人型アンドロイド、名前はヒカリ。
名付けた親は店長らしい。
「そういや店長は?」
「奥の部屋にいますよ。呼びましょうか?」
「いやいい、俺が直接行くよ」
「かしこまりました」
店長がいる奥の部屋の襖に手をかけ、そのまま軽く力を込めて開く。
今時手動の扉なんて珍しいが、店長はこれを変える気はないようだ。
「うーす。店長、また来ちゃいましたよっと」
「てめぇ今日はシフト入ってねぇだろ。学校はどうしたんだ?」
「サボり」
このちょっと見方を変えたらヤクザにしか見えないオッサンが、この由来亭の店長だ。
「まぁいい。今日もこんなオッサンとお話ししに来たのか?」
「まぁそんなところ。最近は学校もつまんないしね」
「いつもつまんないって言ってる癖になに言ってんだ」
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