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昼休み、あまり人がいない所で私は歌を歌う
学園に響かないように小さな声で、それでも聞こえる人には聞こえるようだけど。
私は歌を歌うのが大好き。小さい頃からずっと。それは変わらない
変わったのは
『歌う理由』
学園から一歩外に出ればそこは地獄。幸せなんて存在しない世界が広がっている。かつて美しく自由があった世界は跡形もない。
『私』は…いえ『愛音楽』という少女は『私』と同じで歌を歌うのが大好きな少女だった。
少女の歌う理由はとても純粋だった。少女が住んでいた小さな小さな教会で神父様とシスターと子供たちに聞かせるために、歌を歌った。とても楽しそうに。
神父様とシスターは『愛音楽』に問いた
"何故歌うのか?"
『愛音楽』は言う
"皆の笑顔が見たいから"
とても純粋な理由。
『愛音楽』の歌は教会の者たちにとって欠かせないもので、大切なものだった
今ではもう、教会も神父様もシスターも子供たちもいない。
皆いなくなってしまった。
そして『愛音楽』も。
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