消えた声

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衝撃が走った。血まみれで、リュラにぃもアオラねぇも。 正確にはアオラねぇの体全部。リュラにぃは血まみれでぐったりしているアオラねぇを抱き抱えて、保健室に急いだ。 何人かの生徒は青冷めて、何が起きたかわからなくて、次々と保健室に集まる。 でもリュラにぃに止められて、保健室の中では何人かの先生で治療に当たっている。 「リュラくんっ説明してよっ何があったんだよっ」 翠にぃがリュラにぃに詰め寄る、僕はただ見てるしかできなくて 「………運が避ければ助かる。だが、『命』が助かっても、あいつの『声』は戻らない」 静かに、はっきりと告げた。 「…リュラ…にぃ…それ、どういう…」 僕も多分ここにいる皆も、耳を疑った。 「……見ただけで詳しくは知らないが、恐らく声帯をやられただろうな、切り付けられ、首を絞められた。」 淡々と、抑揚のない声で静かに 「大臣派の連中に少しは頭の切れる奴がいたんだろう。あいつの『歌』と『音』を封じれば、俺達を潰せる。と」 アオラの『歌』は皆をサポートし、『音』は超音波を発することで攻撃型へと変わる。この二つを封じれば少なくとも不利な状況に追い詰められる。そう考えた結果、アオラを襲ったのだとリュラにぃは話した 淡々と。 「…う…嘘だよ…だって、今日も昼に歌ってくれたんだよ…?アオラねぇ、いつものように、あの綺麗な声で…」 声が震えて、ちゃんと言えてるかわからない。でも言えずにはいられなかった。 「そ、そうよ…!そんな簡単に…っ」 アイラねぇはそれきり何も言えなかった あの、アオラの状況を見た者なら誰もが絶望的だと感じた。 リュラにぃの話が終わっても誰ひとりとして立ち去る者はいなかった。 ただ、待つしかなかった 誰も言葉を発する者はいない ただ、ひたすら 待ち続けた
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