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4.
「気に入ったんならあげるよ? 短髪ウィッグなんてもう使わないだろうし」
自分の髪の毛を見て、思ってたより黒い事に若干驚愕。
少し虚しくなりながら石島くんを見直すと、なぜかウィッグを外していた。
「……でも、私カツラなんて使いませんし」
「だよね。ウィッグ蒸れるもんね。でも、頭の色に色々突っ込まれるよりは楽だよ?」
「……まあ」
「ていうか、高校デビューだと思えばいいよ」
一人暮らし初日の高校生に何言ってるんだろうな。
「なんか、ごめんね」
なんだか、自分が何を言ってるのか分かんなくなっちゃった。
「多磨さん」
振り返れば、さっきまでとは違う黒い頭。
「多磨さんの部屋は比較的綺麗ですから、簡単な拭き掃除でいいと思いますよ」
黒い頭が情けなく揺れた。
思いがけず、笑みが溢れる。
「なんでわたしの部屋状況分かるの?」
「管理人代理ですから」
「ああ、そうか」
今日からわたし、こんないい子とお隣さんになりました。
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