荷ほどき

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1. 一人暮らしを始めた初日の朝に、母親の声が響いた。 『起きなさい。もう七時ですよ。いよいよ遅刻する時間帯に差し掛かって参りましたよ。起きなさい。起きましょう。こら、起きてよ』 朝の七時。無機質な母親の声がする。 訂正。母親の声を発する目覚まし時計。 あれ、実家にあった時はメリーさんの羊だった筈なのにな…… 一人暮らししてから初めての夜が明けた。 鈍い眠気を噛み砕きながらキッチンへ向かう。 今日は食パンにチーズとハムを乗せてレンジにいれてみよう。 そんな事思いながら、もそもそと買い物袋を漁る。 「……あれ」 空、である。 「……あ」 そうだった。今日から一人暮らし。 ご飯は一々買ってこなくては家に無いのだ。 ちくしょう。
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