荷ほどき

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2. 玄関にあるサンダルを突っ掛け、マンションの廊下に飛び出してみる。 流石ボロマンションなだけあって、吹き抜ける風が激しかった。 寒いのは、嫌いだ。 「ハムチーズパン……」 名残惜しげに呟いてみるも、強風に煽られ流れていく。 くそう、ハムチーズパンは諦めるか…… 取り敢えず寒さを凌ごうと部屋に逃げ帰ろうと振り向く。 だが、逃げようとした天罰だろうか。 骨盤に衝撃が走った。 「うっ」 あまりの激痛に片膝を付いて息を漏らす姿は、実にみっともない格好である。 「ごめんよ。大丈夫かい?」 私の腰に衝撃をもたらした犯人であろう荷台の持ち主が慌てて駆け寄ってきた。 チーズハムパンか。 そんなにチーズハムパンを食わせたいのか。
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