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3.
「うわ、汚い」
蜘蛛の大集会が行われたかのような蜘蛛の巣の集結。
軽快に駆け回るゴキブリのリレー。
空き部屋はなんとまあ立派に人無しを楽しんでいたようだ。
「マンションでもこういう状況ってあるんですね」
「蜘蛛の巣は集めると綿菓子と同じ触感になるんだよ」
ぬらりひょんのように登場した彼女は、今日初めて会った方。
「多磨さんって蜘蛛の巣触った事あるんですか?」
「触った事は無い。顔面で受け止めた事はあるよ」
話しながら、私は段ボールから雑巾と掃除機を取り出す。
むむ、どれがいいのか。
既に箒を構えていた彼女は意気揚々とベランダへ消えていった。
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