お隣

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1. 今日、わたしは今まで住んでいた実家を離れて一人暮らしを始めることになった。 仕事場は新宿。でも土地代が高かったから、なんとか路線が通った田舎の駅。 そこはいわゆる無人駅で、わたしは殺風景過ぎる駅前に佇んでいた。 「あの」 不意に声を掛けられて振り返ってみる。 イケメンな癖にどこか不満そうな、ただのイケメンがいた。 「困ってらっしゃるようですが、どうしたんですか?」 「引っ越し先が分からなくなってしまったのです」 「なるほど。丁度同じ境遇です」 びっくり。 彼も無人駅の被害者だった。 「家はどちらですか?」 「床江マンションです」 びっくり。 境遇もマンションも同じだった。
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