月明かりを浴びながら

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あたしは、胸に抱いた手帳から手を離すと、パタンと音を立てグランドへ落ちた。 無造作に開かれたページに貼ってあるプリクラは、すべて笑顔だった。 ホントは、クリスマスにあげるつもりだったんだけどな。 てか、オイルの匂いってあんまり好きじゃないな。 キレイな箱から取り出したZippoは、とても冷たかった。 両手でカバーをあげて、火をつけようとしたけど、中々付かない。 片手でシャキーンって開けて、みんなカッコ良く火を付けるのに、あたしってダサいな。 四、五回目でようやく火がついた。 暖かい空気が鼻をかすめた。
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