月明かりを浴びながら

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真っ暗なグランドの真ん中で、一人燃え尽きるのを待った。 火って暖かいし明るいんだ、なんて思ったりもした。 他は思い出したくもない事ばかりが、頭に炙り出されたように浮かんでは消えてった。 やっぱり思い出なんて簡単には消せない。 今度は、胸に有刺鉄線が巻きついたみたい痛い。 そんな時、白いものが降ってきた。 雪? いや、まだ雪って季節には早いか。 手のひらで、そっとそれを捕まえると、手が汚れた。 雪みたいにキレイなモノじゃない。   灰だ。 風に吹かれ、舞い上がった灰があたしをまた汚した。 何をしても、あたしは汚れてるし、どうすることもできない。 息苦しかった。
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