~大神崎と件の館~

2/2

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「戸籍は役所が管理しているが、役所で戸籍をどうこうできる物じゃない。 ましてや本人は捕まっていたんだ、本人以外が戸籍を作れるわけがない。 役所というのは法務局の管轄であり、それを統べるのは法務省だ。 本人のいない間に戸籍を作れるのは、法務省の人間以外には不可能だろう。」 「何だか、話が変な方向に向かってない? その法務省とかが、今回の事と何か関係あるの?」 「まだ推測の域は出んが、大神崎が法務省の人間と繋がっている可能性がある。 いや、少なくとも国の何らかの機関と繋がっている可能性、が正しいか。」 「何それ…、件が政治家だって事?もしくは元政治家とか?」 「それも、可能性の1つだろうが、俺はそうは思わない。 俺が危惧しているのは、奴とあの場所が国の何らかの機関に管理されていて、 お前が、その“何か”に巻き込まれてしまわないか、という事だ。」 確かに、国の機関なんて聞くと、ちょっと怖い気もするが…、 「個人の財力で東京の一角に、あれだけの土地に屋敷を建てられると思うか? 親族の遺産などがあれば別だろうが“戸籍”によれば両親は居らず、 施設で育ったとある。 コネも何も無い孤児が、あの若さであれほどの財産を築けるとは思えん。」 「その法務省か何かが、件の為に件の館を建てたって事?」 「奴は無職だと言っていたが、あれだけの屋敷を管理する金はどこから来るのか。 いずれにせよ、奴1人でどうにか出来るような問題じゃない事は確かだ。」 了
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加