「誰もが言う言葉はいつもありきたりだ」

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神田が声のする方を見ると、男がこちらに走ってきて智則の制服の襟首を掴み、言った。 「何してくれてんだ神田智則君!」 「ギャーギャーうるさい松崎」 「ほほう、貴様、親友の俺に大層な口の聞き方だな」 松崎泰介、高校3年性。智則のクラスメイトである彼はだらしなく下げたチェーンをつけ, いつもジャラジャラと音を立てている。 身長は神田と寸分違わぬ170くらい。 ツンツンとした髪型に鋭い目つき、しかし、性格おおらかで適当だ。 違うところといえば、 「ちょっと暴力は辞めなさい!」 小林が慌てて二人の間に割って入ろうとする。 それに対して泰介は若干ひきつった笑顔を浮かべながら言った。 「先生、大丈夫です別に暴力なんてしません、神田智則君は僕の親友ですし」 「だったらさっさと離せよ……」 「ほーらほら、二人ともいい加減にしなよ、佑ちゃん涙目だよ?」
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