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今から3ヶ月前、俺は二年に上がると同時に、この鷺ノ宮(さきのみや)学園高等部に転入してきた
今、正に日本を背負っているお偉いさんや企業の子息達が通う、全寮生の男子校である
叔父の後ろ楯がなければ、俺のような一般人が入るのは到底無理な話なのだろう
それこそ必死の努力の末に、転入試験の成績はクリアしたが、それだけではやはり入学の許可はおりないのだ
叔父の財力様様である
転入当日、学園の前に降り立った俺は、その予想を遥かに上回る外観の豪華さに言葉を失った
さすが金持ち校と言ったところか
軽く引きながらも、意を決して立派な正門の横にある呼び出しベルを押す
――はい――
「おはようございます。今日から此方でお世話になります、佐野と申します」
――あぁ、はい。伺っております。其方に迎えが行きますので少々お待ちください――
それから数分待つと、ピッという機械音の後に、静かに門が開いた……迎えが到着したようだ
開いた門の前には、白いスーツを着くずした20代くらいの男性が立っていた
「転入生の佐野夏希だな」
学園関係者にしてはホストすぎる出で立ちに、呆気に取られる俺
そんな俺を下から上まで値踏みするかの様な視線を送ったかと思えば、舌打ちをする男性。基い、ホスト
もうホストでいいや
「外れだな、俺ぁいらねーわ。おい、職員室行くから着いて来い」
よく解らなかったが、確実に貶された気がする
その後、俺を視界に入れること無くさっさと歩を進めるホストの後を、俺は静かに着いて行った
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