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さっさと教室に入っていくホストの後に続いて、俺も教室に足を踏み入れた
途端に耳を塞ぎたくなる衝動に駆られる
一瞬、何が起こっているのか解らなかったが、よくよく聞いてみれば全てホストに対する黄色い声援だった
どこから出しているのか不思議になる甲高い声から、野太い声まで、まるでアイドルでもいるかのような騒ぎだ
男子校にと言うか、高校にあるまじき光景に、またもや俺はショックを受けた
「やぁーかましい。転入生紹介するから静かにしろー」
そう言われて初めて俺の存在に気付いたクラスの人達
ピタリと静まったかと思うと、次の瞬間には先程とは正反対の罵声を浴びせかけてくる
教師の前で堂々と初対面の相手に悪口を言う生徒と、それを止めようともしない教師……ホスト
この時点で、この学園に常識を求めるのは間違いだと感じ始めていた
ホストに促されお飾りの挨拶をすませた俺は、指示された窓際の一番後ろの席へと座る
その後ホストは適当に連絡事項を伝えると、教室を出て行った
誰にも話しかけられず、ぼーっと窓の外を眺めていると、マナーモードにしていた携帯電話がズボンのポケットで震え、メールの着信を知らせる
〈どこ?〉
簡潔すぎる文章だが、これは俺等の間では当り前
〈Aの窓際後ろ〉
必要最低限の内容を返し、携帯をポケットにしまうと、再び窓の外に視線を戻した
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