164人が本棚に入れています
本棚に追加
一時間目前の休み時間。
私達は美術室に向かっていた。
「んあーだるいな美術。」
唯ちゃんが自分の髪を
くしゃくしゃしながら
言った。
「え、数学と英語に比べれば
マシ、マシ!楽しいしラクだよ」
あおは右手をブンブン
横に振りながら言った。
空ちゃんも、それを聞いて
同感!!と相槌をうつ。
「まああたしと亜里沙はあんた
ら二人とは出来が違うからね
出来がー。」
唯ちゃんはふふん、と
わざとらしく挑発した。
まあ、そうだね。
と唯ちゃんの挑発に乗らない
あおとは違って、空ちゃんは
「うわ、うっとおしー!」
と、めちゃくちゃ怒ってる。
「ま、まあまあ!空ちゃんたら。」
相変わらず空ちゃんのキレ所
がイマイチ分からない…。
ブスって言われても
へっちゃらな癖に…。
私は
落ち着いて、と
空ちゃんの肩を軽く叩いた。
空ちゃんは
「ちょっと今さわるなっ」
と私の胸をどんっと押す。
階段で空ちゃんの一段下に居た
私は、バランスを崩した。
「…えっ」
まだ私の足下には9段はある。
…嘘でしょ…
「!まっ…、梨花!」
自分が原因で私が落ちそうに
なっている、と気づいた
空ちゃんは私に向かって
グッ、と手を伸ばした。
「空ち…」
後頭部を下にして私は
階段を落ちていく。
体が宙に浮くって、
何ともいえない気分。
今は怖い、と言うより
これからどうなるのか。
ただそれだけが気掛かりだった。
私を追いかけて
共に落ちる空ちゃんの顔は
どこか強張っていた。
ー…一緒に落ちるなんて、
やっぱり馬鹿だなあ…
空ちゃんは…。
……
…
最初のコメントを投稿しよう!