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「ん…う……う」
後頭部に痛みが走る。
「……」
起き上がりはできるが、
これまでに経験した事のない、
激しい痛みに目が眩む。
…わた…し… どう…
「………え…………?」
ぼやける瞳の前に広がるのは
いつも通学時に見る
どこまでも水色の『空』だった。
…私…さっきまで……
学校の階段に………
「いた…はず……。」
ボソッと呟いて、
後頭部をさすりながら
身を起こす。
「…………なんで?」
…おかしい。おかしい。
おかしいよ。
何かがおかしい。
「…」
頭をさすりながら
地面に腰を下ろしている私を
あの、よく時代劇なんかで
でてくる様な人達が
集って不思議そうに見ていた。
状況を整理しようとしている
私の耳に、誰かの話し声が
飛び込んでくる。
「なんなのかしら、あの格好」
「…さあ?西洋の服かありゃあ?」
…私の格好…。
セーラーの事…?
『変な格好』と言われた
様なものだと気付くと
異様恥ずかしくなった。
頭の痛みを堪え、
私は一番私の近くに立つ
おじさんに尋ねた。
「…あの、もしかして…
ってか、もしかしなくても…」
「え…んっ!?な、何だ…?」
何故俺に尋ねた
と言わんばかりの反応に
…そこまでしなくてもいいじゃん
と思いながらも
「今…って、平成、じゃない
ですよね…。」
と、小さく尋ねた。
…急すぎて、
あまり実感は湧かないけど。
でも、それでも。
この町並み、 人々、
喋り方を見る限り
飛んじゃったんだ…。
と受け入れるしかなかった。
おじさんの反応は、
やはり私が想像した通りで。
「……へい…せえ?」
聞いた事のない言葉を聞き、
戸惑っている様だった。
…一体私は。
どこに飛んできたんだろう。
とりあえず、
それだけでも知っておかなきゃ
いけない気がしたから、
私は聞き方を変えた。
「っと…じゃあ今、何年ですか?」
「…?元治元年。…だが。」
…元治元年… 元治…。
「って事は…江戸…?」
何でよりにもよって江戸に。
「江戸?…残念ながらここは
江戸じゃあねえな。
江戸に行きたいならここをもっと北へ北へいかなきゃなんねえ」
「へ、あ、そ、そうですか!」
…江戸にタイムスリップしてきて
江戸に居ないって…
一体どういう…?
ありがとうございました、
とお辞儀をし、
どうしたら戻れるかを
考えながら歩いていた。
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