タイムスリップ

13/13
前へ
/184ページ
次へ
ーそもそも、『タイムスリップ』 と言い切れるのかな。 思考回路がショートしそう。 私は何処かも分からない町を フラフラと宛てもなく歩く。 ドンッ。 考え事をして前を見てなかった私は 誰かにぶつかった。 「す、すいません!」 反射的に謝る私。 「…あ?何ぶつかって 来てんだテメー。」 あーあ、大凶。 少女漫画とか恋愛小説では イケメンにぶつかって 恋に落ちるパターンでしょーっ 「ごめんなさい」 さっきのは、前を見てなかった 私が悪い。 だからもう一度ちゃんと 謝り直した。 「仕方ねえなあ。 ちゃんと前見て歩く事だな ……にしてもお前、 変な格好してんな。」 悪い人…ではなさそう。 だけど、また ファッションを けなされてしまった。 ー仕方ないじゃんー! 「あ、あはは、実は私 未来から来てー」 なんて、信じる訳。 「…未来?お前が? …なあ、お前さ、さっきから 俺を誘ってんのか?」 「え?」 誘ってる? 未来から来たって言った なんだけど… 「いや、違いますっ」 私はブンブンと首を 横に振った。 「隠さなくてもいいじゃねえか …何でもいいから俺と 話したかったんだろ? だから未来がなんちゃらとか。 わざとぶつかった癖によ」 え、この人、どんだけ 妄想激しいのー!! 結構妄想する私でさえ ここまではした事 ないよーっ! 「い、いや、ホント違うんで。」 とりあえずその場を 逃れようとした 私の腕を、その男は ぐっ と引き止めた。 「待てよ?」 「や、嫌ですっ!」 私は必死でその手を 振り払おうと試みるが、 何度抵抗しても その手はびくともしない。 「だれかっ…だれかー!」 もう、声を張り上げるしか なかった。 最早私には声しか 残っていなかったから。 「だれ、かっ…」 また叫ぼうとした時、 腕にかかっていた力が サッと消えた。 「ー…あれ…??」 私は解放された左腕を見る。 …何? 私は、男の方を怖怖振り返った。 「くっ…お前…ふざけんな…!」 さっきまで私の手を掴んでいた 男は、何者かに後ろから 押さえ付けられていた。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加