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「…夢でも君を助けたのかあ」
彼はふっと空を見上げて言う。
「命を張って守って頂きました!」
肩を斬られても、
痛みを堪えて笑ってくれた事。
最後私に何かを伝えようと
していた事。
全てを話した。
「そんな事もあるんだね。
まさか、それ正夢になっちゃ
ったり…?」
興味津々で言う彼に
私はきっぱりと言った。
「多分それは無いよ!だって私
貴方に話しちゃったしっ
夢って明かしたら現実に
ならないって言うし!」
……多分言わないと思う。
実は私の意見であるっ!
「へえ…つまんない」
彼はホントにつまらなそうに
私をじとっと見る。
「、あ、え!?」
綺麗な顔立ちをしている
ものだから、
じっと見つめられると
すごく照れる。
「ぷっ。」
また頬を膨らませて笑う彼。
「…楽しんでますね。
…絶対楽しんでますよね。」
ぶっきらぼうに私が言うと
彼は「まあね」と言った。
っ、とことん素直な人だな!!
目を逸らした私に、彼は言った。
「夢も含めて数えると
今まで俺は二度君を二度助けた、
という事になるんだよね?」
何を言い出すんだろう。
考えながら
「ええ、まあ…」
と答えた。
すると、彼はニコニコと
微笑みながら
「じゃ、俺今から休憩だから
ちょっと付き合ってよ。
お礼って事でさ。」
と上機嫌で言ってきた。
「え、ちょ、と、」
なんなのー!!
彼の細くて長い大きな手は
私の短くて小っちゃい手を
ギュッと握って引っ張った。
なんでこんな余裕なんですか!
好きって訳では無いけど、
やっぱり異性と手を繋ぐのは
いつになっても慣れない。
「ど、どこいくの?!」
「ん?すぐそこだよ。
そんなに長く休めないしね。」
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