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キーンコーン カーンコーン…
朝読書のチャイムが鳴り響く。
8:30に毎日このチャイムが
鳴るんだけど。
40分まで10分間本を読まされる。
ー…。読書時間もうちょっと
多くてもいいけどなあ。
私は心の中で呟いた。
チャイムの余韻が完全消えた
頃には、皆さっきまでの
テンションはどこいった!?
って位教室は
静まりかえっていた。
「はぁ…。」
何故か溜息がこぼれた。
昨日見た景色と同じ。
一昨日と同じ。
毎日似たような事の
繰り返し。
……楽しくないなあ。
机の中に入れていた
最近買ったばかりの
小説を出して、
プロローグを開いた。
「梨花、梨花。」
後ろからコソコソと
私の名前を誰かが呼ぶ。
「…?」
私は、前に座って真剣に本を読む
担任に気づかれない様に
ゆっくり後ろを振り返った。
…三つ後ろの席の
空ちゃんだった。
山下 空(やましたそら)。
すごくやんちゃで、
常に悩み事なんて
無さそうな女の子。
とっても可愛い!
って訳でもないのに
結構モテる理由は多分、
フレンドリーな性格、
あと
笑ったら優しそうな雰囲気
が伝わってくるから。
「なーに、空ちゃん!」
私もヒソヒソ声で空ちゃんに
返事する。
空ちゃんはいつもの
柔らかい笑顔で、
「なんか小説貸して」
と言ってきた。
ー小説、なんかあったっけ?
机の横の鞄掛けにひっかけている
袋を覗いてみた。
…無い。
そういや家に持って
帰ったっけな…私。
無い事を確認した私は、
再び後ろ向いて「ごめん無い」
と伝えた。
そしたら後ろの席で
空ちゃんは、「ちぇーっ!」と
小さくぼやいてた。
私まだこれ読んでないし。
読んだら貸してあげよっと。
そう思いながらプロローグに
再び目を通した。
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