電車と君と僕の関係

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どんどん席が埋まっていく。自分はあの人とは反対側の左斜め前に座った。仕事疲れからか腕を組んで音楽を聞きながら寝ている。 すると、1人のおばちゃんが電車に乗り込んできた。両手に大きな荷物を持ち、よたよたっと歩いてくる。人にぶつかりながらも、必死にこちらにきた。 そのおばちゃんは、あの人の前に止った。つり革を持ちながら1人でぽつんと。席を譲る者は勿論いなかった。譲ってあげたいとは思ったが、人の数が多いのと離れているから出来なかった。 するとさっきまで寝ていたあの人の目が開いた。目の前のおばちゃんを見て、何やらもぞもぞと動いている。立ち上がりおばちゃんと何か話しては、その席を譲っていた。男らしさが見えた瞬間だった。 あの人は何故かこっちに来ていた。目の前で止まり、つり革に手を掛けた。
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