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「ヒロちゃーん!ヒロちや~ん!」
白に近くなるまで色を抜いた金髪の青年が、何ともなれなれしい呼びかけをしながら、今、歩いて来た場所を振り返った。
そのついでに、両手に持っていたポリバケツも、ドスンと下に置く。
左耳に4つ、右耳に1つ、合計5つものリングピアスが、太陽光を集めている。
青年というには少々中性的な面立ちの彼は、高校生に間違われてしまう事が多い。
店の制服として使っている白い胸元にフリルをあしらったブラウスに、黒のベストとスラックスは、わざとらし過ぎて似合わない。
当の本人は、基本的に人の目を気にしないタイプの性格をしているので、年下に見られる事も、女性に見られがちな事も、小さな事だった。
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