朝の日常

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「ご主人様じゃないですよ、俺は。」 「…うん、分かってる。物の例えで前列を出したの。ヒロちゃんは、ミラの…。」 左側にある宏次の手を、ミラは反対側に回させ、右に1つあるピアスを触らせる。 「分かってるなら良いよ。その事だけは忘れないで。」 宏次は静かに目を閉じると、自分の手を導いたミラのそれを取り、口を付けた。 それはおとぎ話で王子が姫に、愛を誓うシーンを彷彿とさせる。 まだ朝日がまぶしい。まして繁華街となれば、その時間帯の人出は、ほぼない。 宏次とミラの契りを見ているのは、残飯を狙ってやって来た、カラス数羽だけだ。
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