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……。
良雄は、この双子の間の異様な雰囲気に恐ろしさを感じ始めた。
「大丈夫かよ? お前の姉ちゃん、これはちょっと、病的だぜ?」
実の姉が倒れ込んでいるにも関わらず、美智代の口元は冷酷な笑みをうかべている。
「良いのよ。こんな奴」
言いかけた所で、美智代は何か、周囲に漂う異臭に気が付いた。
「何か、変な臭いがしない?」
しかし良雄は、首を傾げるだけだった。美智代は周囲を見回すが、特に何も無い。臭いは次第に強くなって行く。
異臭の元を探す内に、美智代は何かの拍子に自分の手の甲から発している、嘔吐物の臭いに気が付いた。臭いは美智代自身から醸し出されていた。
手の甲だけではない。腕や、髪の毛、学生服までも、嘔吐物の臭いがこびりついている。
余りの悪臭に耐え切れず、美智代は思わずその場で嘔吐した。
「げえっ、汚ねぇ! 何なんだよ、お前ら姉妹」
良雄はあからさまに不快な表情を浮かべている。美智代は四つん這いになりながら、何度も嘔吐を繰り返した。
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