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遼平は純也が冗談を言っていると思ったが、その顔を見る限りどうやら本気らしい。 まぁ、確かに付き合って4年になる。それに、もう遼平も30歳を迎えて多少焦り始めているのも事実だった。 優子も言葉や態度には出さないが、そろそろ『結婚』という物を真剣に考えているのかも知れない。 『純也に心配してもらわなくても、しっかり考えているさ。俺だって、ただダラダラ4年付き合っている訳じゃない。 結婚するつもりは勿論あるさ』 『そうなら別にいいんだけどな。実を言うと、ちょっと前に優子ちゃんに相談されたんだよ。 もしかして遼平は結婚する気はないんじゃないかってさ。』 純也のその言葉を訊いて遼平は驚いた。 純也と優子は何度か顔を合わせているし、一緒に食事もしたことがあるので相談するのは不思議じゃないが、まさか結婚について相談しているとは思っていなかったからだ。 『それマジかよ。お前、そういう大事な話しはもっと早く伝えてくれよな』 遼平は苦笑いをして純也に言った。多分、その苦笑いは随分と引きつっているはずだ。 『とにかく、そういう事だから。真剣に考えてやれよ。 優子ちゃん、お前の事待ってるぞ』 純也は遼平の肩を軽く叩いて、自分のデスクに戻った。 (俺を待ってるー…か) そろそろ決心を付ける時が来たのかもしれないなと、遼平は思った。 ずっと警察の独身寮に住んでいたから貯金はそこそこあるし、結婚を迷う要素がとりあえず一つもない。 それに、勿論遼平は優子を愛していた。 とりあえず、次の休みにこっそり指輪を見に行こう。式の相場なんかも調べとかなきゃな。 遼平はそう心の中で思って、手元の資料に目を落とすと、仕事に手を付けた。
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