2人が本棚に入れています
本棚に追加
遼平は純也が冗談を言っていると思ったが、その顔を見る限りどうやら本気らしい。
まぁ、確かに付き合って4年になる。それに、もう遼平も30歳を迎えて多少焦り始めているのも事実だった。
優子も言葉や態度には出さないが、そろそろ『結婚』という物を真剣に考えているのかも知れない。
『純也に心配してもらわなくても、しっかり考えているさ。俺だって、ただダラダラ4年付き合っている訳じゃない。
結婚するつもりは勿論あるさ』
『そうなら別にいいんだけどな。実を言うと、ちょっと前に優子ちゃんに相談されたんだよ。
もしかして遼平は結婚する気はないんじゃないかってさ。』
純也のその言葉を訊いて遼平は驚いた。
純也と優子は何度か顔を合わせているし、一緒に食事もしたことがあるので相談するのは不思議じゃないが、まさか結婚について相談しているとは思っていなかったからだ。
『それマジかよ。お前、そういう大事な話しはもっと早く伝えてくれよな』
遼平は苦笑いをして純也に言った。多分、その苦笑いは随分と引きつっているはずだ。
『とにかく、そういう事だから。真剣に考えてやれよ。
優子ちゃん、お前の事待ってるぞ』
純也は遼平の肩を軽く叩いて、自分のデスクに戻った。
(俺を待ってるー…か)
そろそろ決心を付ける時が来たのかもしれないなと、遼平は思った。
ずっと警察の独身寮に住んでいたから貯金はそこそこあるし、結婚を迷う要素がとりあえず一つもない。
それに、勿論遼平は優子を愛していた。
とりあえず、次の休みにこっそり指輪を見に行こう。式の相場なんかも調べとかなきゃな。
遼平はそう心の中で思って、手元の資料に目を落とすと、仕事に手を付けた。
最初のコメントを投稿しよう!