麻美

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「俺と付き合わない?」 当時かっこいいって有名だった先輩が、私に告白してきた。憧れの先輩だったから、私はすぐに返事をした。 「はいっ!」 その時は、本当に幸せだった。 でも、先輩と付き合ったのはたった、一週間だけだった。 ――私は別れたくなかったけど先輩に言われた。 「ごめん。こいつと付き合うから」 先輩が遠くを指をさして言った。私がその指の方を見ると、 「麻美……」 麻美がニコニコして壁に寄りかかっていた。そして麻美は走って先輩の元へと行き、先輩の腕を掴んで、 「ごめんね~」 私が今まで聞いた事のない甘ったるい声を出しながら言った。 「な…んで……」 その呟きに誰も返答しない。 先輩に振られたって言う事もあった、中学2年の冬――… 普通の寒さとは違う寒さの日に私は振られた。
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