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「大体…そう怒鳴ってばかりいては血圧が上がりますよ師匠?」
背中越しに手を振り、腰まである菫色の髪を靡かせて立ち去った。
「儂を年寄り扱いしおってっ!!この賢瀏斎<げんりゅうさい>を馬鹿にするとはうつけにも程がある!!」
憤慨する賢瀏斎は、鼻息荒く地を蹴って跳んだ。
見た目には想像つかない華麗な弧を描く。
三回転半捻りの後、賢瀏斎の右脚は紫月の蟀谷へ見事命中。
長身の紫月の身体は、軽々と吹っ飛んだ。
「~ってぇなクソジジイ!!俺が死んだらどうしてくれんだ!?」
飛び起きた紫月は、自分の大声に目眩した。
「フンッ!儂の飛び蹴りすら躱せんとは弱っちぃのぉ~?
おやおや…鼻血とは情けない情けない」
馬鹿にされた紫月だが、師匠の一撃がクリティカルヒットだったため、足がふらついて上手く歩けない。
その様子に賢瀏斎は腹を抱えて笑い転げる。
「ヒャヒャヒャヒャヒャ!チョ~ダッサいのぉ~?」
「ジジイがチョ~とかダサい言うな…」
「ヒャ~ヒャヒャヒャヒャッ!あぁ~ウケるわい…
精々、父君を認めさせる力をつけねば、主とは会えぬと思え」
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