其ノ壱 紫月の章<銀の城>

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「大体…そう怒鳴ってばかりいては血圧が上がりますよ師匠?」 背中越しに手を振り、腰まである菫色の髪を靡かせて立ち去った。 「儂を年寄り扱いしおってっ!!この賢瀏斎<げんりゅうさい>を馬鹿にするとはうつけにも程がある!!」 憤慨する賢瀏斎は、鼻息荒く地を蹴って跳んだ。 見た目には想像つかない華麗な弧を描く。 三回転半捻りの後、賢瀏斎の右脚は紫月の蟀谷へ見事命中。 長身の紫月の身体は、軽々と吹っ飛んだ。 「~ってぇなクソジジイ!!俺が死んだらどうしてくれんだ!?」 飛び起きた紫月は、自分の大声に目眩した。 「フンッ!儂の飛び蹴りすら躱せんとは弱っちぃのぉ~? おやおや…鼻血とは情けない情けない」 馬鹿にされた紫月だが、師匠の一撃がクリティカルヒットだったため、足がふらついて上手く歩けない。 その様子に賢瀏斎は腹を抱えて笑い転げる。 「ヒャヒャヒャヒャヒャ!チョ~ダッサいのぉ~?」 「ジジイがチョ~とかダサい言うな…」 「ヒャ~ヒャヒャヒャヒャッ!あぁ~ウケるわい… 精々、父君を認めさせる力をつけねば、主とは会えぬと思え」
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