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見飽きた顔が、鼻を袖で隠して覗いていた。
睨む主人を無視し、窓を開けて換気を始める。
「あぁ~臭いったらありません」
言いながら、着替えやら手拭いを紫月の上に置いた。
「その女の匂い、早く流して下さいね?」
優秀な側近は、さっさと部屋から出て行った。
紫月は鼻をひくつかせると、眉間に皺を寄せて風呂へ向かう。
途中で艶やかな碧い髪と瞳に会った。
「お早う御座います兄上」
「……」
頭を下げた弟を見下し、無言で去って行く。
紫月は何事も無かった様に歩いた。
*****
この女顔…人が頭下げてやったのに相変わらずだ。
何が楽しくてコイツと一緒に飯食わなきゃなんねぇ?
あああ!?こっち睨んでんじゃねぇよ!!
「私の顔に何かついているのか?」
「いえ、今日も一段とお美しいなと」
女ならこの台詞で喜ぶ。
「私は女ではない」
はいはい知ってます。
アンタはこの台詞で怒る。
おキレイなお顔で睨まれても、何とも感じない。
母親が違うと、同じ日、同じ時に産まれようと、上下関係ができる。
まぁそのお陰で俺は遊べるんだ。
感謝してるさ…嫌いだがな。
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