王都エストリエ

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勇雷さんは俺の考えていることを察したようで、小さく微笑んだ。 「私達は人から敬われ、尊敬されることはあっても、重々しい関係にはなりたくなかった。これはミネルヴァが代々行ってきた政策の一つだ。こういう関係にあれば、気になることがあってもすぐに相談できるし、相談を受けることもできる。我が国が考える、最も国民と親しい関係になる方法だよ」 確かに、勇雷さんには国王ということを忘れさせる程気軽に話すことができる。 「そうですね。俺もそう思います」 他の国から変わった国だと思われるかもしれないけど、俺は心の底よりそう思う。 勇雷さんに付き添って来ていた軍人達は、途中で別れて仕事に戻っていく。 彼らは仕事中にいきなり呼び出されたらしく、軽く愚痴を言いながら去っていった。 「さて、着いた」 城のかなり高いところまで上がったところにある部屋の前で勇雷さんは止まった。 その扉をノックをせずに押し開ける。 「帰ったぞ」 勇雷さんが部屋に入るなり告げる。
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