王都エストリエ

7/30
前へ
/2188ページ
次へ
勇雷さんの顔を見る限り、どうやら間違っていないようなのだが、これは一体どういうことなのだろう。 「遅かったんですね。もっと早く帰ってくるものだと思っていましたが」 見た目を裏切らないあどけない声で話す女の子は、笑顔で俺達を見上げている。 「え~と、勇雷さんの娘さんですか?」 俺は首を傾げて呟く。 でも、確か勇雷さんは俺達の3つ上。 対して女の子は見たところ中学生くらいだ。 娘なわけがないのだが……。 「ぐすっ……」 俺の呟きを聞いた女の子が途端に目に涙を浮かべる。 「ええ!?な、なんで!?ちょ、ごめん!!ごめんね!!」 俺はいきなり泣き始めた女の子に戸惑いを隠せない。 女の子は鼻をすすりながら手で涙を拭っている。
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27562人が本棚に入れています
本棚に追加