王都エストリエ

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「ふえええええええええん!!」 今度こそ大声を上げて紗彩さんが泣き始めた。 「ちょっと朱莉ちゃん!!」 菜乃が大声で咎めると、朱莉は俺と理玖に叩かれた額を押さて苦笑する。 「あはは、ごめん」 悠斗さんと優衣さん、月島さんも完全にお手上げらしく、苦笑しながら知らんぷりをしている。 その素振りを見る限り、慣れているんだろう。 つまり紗彩さんは自分の見た目にひどくコンプレックスを持っていて、そのことを言われると本当に子どもの如く泣いてしまうようだ。 朱莉の一言が決め手になったようだ。 「うわああああああ!!」 「だ、大丈夫だ!!お前は大人だ。ああ、紗彩はこれ以上ないくらい大人な女だ。俺はその姿に引かれたといっても過言ではない!!」 ちょっと王様? それはかなり際どい発言ですよ? と、心の中でつっこみを入れながらも、見るに見かねた俺は、持っていた鞄からお土産の一つを取り出した。
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