王都エストリエ

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「い、いえ、大丈夫です……」 菜乃はそう言うが、とても大丈夫には見えない。 一体どうしたというのだろうか。 「……本当に、構わないので続けてください」 「そうか、わかった。何かあったら何でも言ってくれ」 勇雷さんはそう言って、また用紙に視線を戻した。 「続けるぞ。この薬物組織で面倒なのが、ある特殊な薬物を扱っているのことだ。なんでも、使用すれば魔法に関して何らかの変化を起こす薬だそうだ。正確なことはわかっていないが、かなりやばいものらしい」 「……そんな危険なものなら、なぜ軍が直接動かないんですか?」 理玖がもっともな質問をする。 オリンポスの仕事は秘密裏に活動する必要があるものだけだと思っていた。 でも薬物なんて表立ってでも潰す必要があるものだ。 わざわざ秘密にする必要があるのだろうか。
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