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「本来なら理玖君の言う通り軍が動けば済む話だ。だが、今回は違う。魔法に関する薬物と言うのが危険なんだ」
「危険……ですか?」
俺は眉をひそめて訊き返した。
「ああ。君達は魔法が使えてもつい最近まで使えなかったからわかると思うが、魔法が使えるというのはそれだけでも強い武器となるものだし、周りの人が使えない力が使えるということで優越感もある。軍に入れば高位の地位も約束される」
確かにそれはわかる。
銃や剣もそうだが、力となるものは持っているだけで良いと感じて人間として普通だ。
俺はそれほど魔法に執着はないが、魔法を使えない人からすれば、とても魅力的なものだと理解できる。
勇雷さんはすっと指を立てた。
「だがもし、薬物の効果が、体に異常を起こして魔法を使えるなんてものだったりしたら、どうなると思う?」
……どうなるんだろう。
俺にはちょっとよくわからなかった。
皆も答えがわからずに、首を傾げて顔を見合わせる。
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