王都エストリエ

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そうしていると、悠斗さんが指で机をとんとんと叩いた。 「もし、そんなことになれば、シャレにならないことが国規模で起こる」 「ええ、そうですね」 優衣さんは目を険しくして頷き、俺達に説明してくれる。 「薬物に手を出す理由というのは色々ありますが、好奇心や若しくはその効果に引かれるといったことが主な理由です。そして、もし薬を使えば魔法が使えるとわかればどうでしょう。一度も使ったことがないけど目の前で見てきた憧れの魔法が使えるとわかればどうでしょう。この魅力はかなりのものです。もし魔法が使えるなんてことになれば、薬なんて絶対にやらないという人でも手を出してしまう可能性があるのです」 優衣さんの言葉を引き継いで、まとめるように勇雷さんは言った。 「もしこの薬が表に出てきたら、一般市民はもちろん、下手をすれば軍人だって手を出すかもしれない。 だが、薬物は薬物だ。リスクがないはずがないし、そんな無理なやり方で魔法がまともに使えるわけがないんだ」 薬のリスクか。 でも、俺も魔力が増えるなんて薬が目の前にあったら、使ってみたいと少し思ってしまうかもしれない。 例えそれがどんなにリスクがあっても、俺の立場を考えるとどうしても興味が湧いてしまう。
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