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菜乃は視線を落としながら手を組んだ。
そして、俺を一瞥したあと、頭を抱えて俯いた。
「知哉君は、聞いた?お父さん達から、私の、その……昔のこととか……」
「いいや、ただ薬が飲めないって聞いただけだよ。それ以上は聞かなかった」
変に勘ぐるのも悪いしな。
「別にいいんじゃないか?ダメなら無理して参加しなくても。悠斗さん達だけでも何とかしそうだし、俺達ができることも限られてるからな」
「……」
菜乃は俺に顔を見せないようにしてるが、何か思うところがあるのか肩を震わせている。
俺はため息を吐いて立ち上がると、近くにあった自動販売機から適当にジュースを二本買う。
そして、買ったジュースの一方を菜乃に差し出しながら言った。
「詳しいことは訊かないけどさ、とりあえず無理はやめとけよ。悠斗さん達が余裕でも、俺達にとっては危険だ。無理していっても邪魔になるだけだし」
菜乃はジュースを受け取ると、それを両手で包み込んでまたうなだれた。
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