王都エストリエ

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だが、すでに小一時間ほど彷徨っている。 つまるところ、迷っているのだ。 上から下に歩き回っているのだがどこにも目的の部屋は見当たらない。 「どうしたのもか……」 困り果てながら歩いていると、曲がり角で何か小さな影とぶつかった。 「あ、すいません」 俺は謝りながら尻餅をついている人に手を差し伸べる。 「あいたたた」 そこで気づいた。 ぶつかった小さな影は紗彩さんだったのだ。 「あ、綺堂さん」 紗彩さんも俺に気づき、俺の手を掴んで立ち上がった。 「こんなところで何してるんですか?」 紗彩さんは俺を見上げながら訊いてきた。
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