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「いい慌てようだ。中々面白い顔をしている」
「こらこら透君。笑っちゃだめだよ。くすっ」
天馬先輩の後ろに立って必死に笑いを噛み殺しているのは、火澄と相模さんだった。
「お前達まで、なんで……」
「ちょっと王都に用があったから会長と一緒に来たんだ。貴族も楽じゃないんでね」
火澄は少し面倒そうに肩をすくめている。
あれ、意外だ。
火澄はそういうところ鼻にかけると思ったのに。
「それで、皇様から君達の学院の生徒が来ているよと聞いて、この場所を聞いたというわけです」
「ああ、そうなんだ……」
相模さんの説明を聞きながらも、俺はちらちらと天馬先輩に視線を向けていた。
天馬先輩は笑っているが、本当に笑っているのかどうかわからない。
普段から飄々としている部分があるので、こういう時は本当に読み取れない。
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