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天馬先輩は俺の反応に呆れたようで、首を振りながら苦笑した。
「もう君はなんていうか。色々規格外な人間だね。本来なら生徒会長として、こんなところで何をしているか突き詰めるべきだが、勉強はしているみたいだからそっとしておこう」
「あはは、ありがとうございます」
こんなことが学院に知られたら、どれだけ絞られるかわからないから助かる。
「そう言えば、先程菜乃さんの所によって来たのですが、目を覚ましていらっしゃいましたよ」
「本当?それならちょっと様子見に行ってみようかな」
俺は天馬先輩達と別れて、一先ず菜乃のいる病室へと足を向ける。
部屋をノックすると、菜乃ではなく佐奈の返事が返ってきた。
「入るぞ~」
中に入ると、ベッドに横たわる菜乃とその横に立つ佐奈の姿があった。
「大丈夫か?」
俺は菜乃に尋ねながら佐奈の隣の椅子に腰を下ろした。
「まあ、ぼちぼちかな……」
小さく笑う菜乃の顔色は、今朝俺が見たときよりずっとよくなってはいる。
だが声には力がなく、まだ体を起こす元気はなさそうだ。
額や髪も汗で濡れていて、息も少し荒い。
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