薬の恐怖

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視界が定まらなくなり、体に軽く痺れを感じ始める。 だが、それをどうにかする間もなく、私が競技をする番になってしまった。 原因もわからないまま、私は競技場に出ていく。 症状は治まるどころか悪化していく。 周りは静かなはずだった。 だが私の耳には大きなざわめきが聞こえ、普段なら集中できている状況でも全く集中することができなかった。 それでさえ私には異常なことだ。 雑音程度で崩れる集中力なら、私みたいな一年生がここまで来れるはずもなかったのだ。 一発撃つが、的にすら当たらない始末。 私はふらつきながら頭を押さえる。 頭痛や吐き気までやってきて、立っているのもやっとになってくる。 「ハァッ……ハァッ……」 呼吸もひどく荒くなった。 周りの人が心配そうにこちらを見ていたが、私は止めずにライフルを構える。 次は、引き金さえ引くことができなかった。
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