薬の恐怖

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体を調べれば常習犯かどうかはすぐにわかったそうだし、何より決定的だったのは私が差し入れを残していたことだ。 食べ過ぎて競技に臨むのもどうかと考えていた私は、差し入れを半分ほど残していたのだ。 差し入れからは薬物が発見され、それを差し入れたのは多くの人が見ていたので、すぐに誰がやったか発覚。 お嬢様の悪戯と言う程度では済まされず、とても大きな事件となった。 新聞にも大きく取り上げられ、名前こそ伏せられたものの、センセーショナルを巻き起こした。 私は麻薬を盛られたということと、高校生だったこともあり罪には問われなかった。 だが、当然高校にいられなくなり自主退学。 通信制の学校に入ってから、必死にあの事件のことを忘れようと勉強を頑張った。 お父さんとお母さんには本当に心配をかけてしまったと思う。 そして―― 「ん……う~ん」 暗い部屋で重い瞼を上げる。 私の目が覚めたのは、エストリエ城の一室だ。 ああ……嫌なこと思い出した。 長いこと、夢に出てこなかったのに。
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