薬の恐怖

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あれ以来、薬に拒否反応を示すようになった。 その後通信制の学校を卒業し、私は念願の保育学校に進学した。 あの事件は私が起こしたものではないが、薬を使ってしまったのは事実。 そんな私が、子どもの教育に携わる仕事に就けるのか、就いていいのか疑問ではあった。 しかし、父さんと母さんや友達が応援してくれたこともあり、頑張って夢をかなえようとしていた。 その矢先に、私はここへ来てしまったのだ。 今思えば、こうしてここにいることもよかったかもしれない。 あちらでのしがらみを、一度断ち切れた気がする。 今度あちらの世界に帰れれば、私はきっと、もう一度新しいスタートが切れる。 そう言えば、神初さんに会ったのも通信制に通っていた頃だった。 理玖達に比べれば少し早い。 何か理由があるのかもしれない。 もしかしたら私達が選ばれたことに関係しているのかもしれないが、実際のところはよくわからない。 「はぁ~」 私はため息を吐きながら寝返りをうつ。 その程度には体が動くようになっている。
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