拉致

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俺はアリオンを携え、普段着を着ているが、一目で外から来た人だとわかるらしく、様々な人から話しかけられる。 本当にこの街は居心地がいい。 こんな街に、非道な薬物組織がいるというのはかなり憤りを感じる。 早くどうにかしたいものだ。 やりきれない思いでため息を吐き、隣にいる菜乃に目を向けた。 「今日の検査だけどさ。薬とかは使わないって話だけど、検査自体は大丈夫か?」 訊きづらい内容ではあるが、訊かないわけにもいかない話だ。 菜乃は苦笑しながらケープの中に首をすくめた。 「あまり大丈夫ではないんだけど、検査だけならお医者さんがうまくしてくれるって言ってた」 注射を見るのも嫌と言っていたけど、そこは先生に期待するしかないようだ。 病院は城から少し離れた場所にあるため、それなりの距離を歩かねばいけないかった。 当初は、勇雷さんが車を出そうかと提案してくれていたのだが、菜乃が久しぶりに少し体を動かしていたいということで、歩いて病院に向かっているのだ。
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