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途中途中で道を尋ね、病院を目指していく。
病院からかなり近くまで来たときに、路地を抜ければすぐと言われたので、少し暗めの路地へと足を向ける。
このような建物に囲まれた路地はどこにでもあり、地元人の近道として使われているようだ。
「あともう少しみたいだけど、まだ大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。ありが――」
菜乃の言葉を遮るように、何かが割れるような音が路地に響き渡った。
「なんだ?」
「なんだろう……」
俺と菜乃は顔を見合わせて、音がした方に向かった。
音がしたのは路地の曲がり角、その先だ。
俺達が音がした方に行ってみると、そこでは何人かの男が揉み合っていた。
というより、何人かの男が一人の人を押さえつけているようだ。
「おい、何をしている」
喧嘩しているのならただ見逃すのも目覚めが悪い。
一方的なリンチなら尚更だ。
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