拉致

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「おい!!動くんじゃねぇ!!」 路地に男の声が響いた。 俺はハッとして振り返る。 声をした方が見ると、菜乃がこいつらの仲間と思われる男に拘束され、首元にナイフを押し付けられていた。 しまった……!!見張りがいたのか!! 俺は唇を噛んで男を睨み付ける。 菜乃は必死にもがいているが、口を押えられて声が出せない上、体調が悪いせいで体も満足に動かせない。 自力での脱出は望めないし、危険すぎる。 「くそっ……」 見張りがいることなんて考えればわかることだったのに、どうして菜乃を一人にさせてしまった……。 助けを呼ばせに行けばよかったのに、どうしてそうさせなかった……。 たらればばかりが頭に浮かんでしまい、そこに隙ができた。 気付いた時には後頭部に鈍い痛みが走り、視界が真っ暗に染まり地面に倒れ伏した。
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