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ライトが一つだけある、薄暗い倉庫のような部屋。
コンクリートに囲まれていて窓のようなものはなく、一つだけ扉がある。
そして、辺りに紙や木箱が散らばっている。
廃屋のように寂れた場所だった。
「ここはどこだ……」
俺は頭を庇いながら立ち上がった。
頭が切れていると言っても大した傷ではないようなので、動く分には問題ないようだ。
「ここがどこかはわからない……。私も目隠しされて車で運ばれたから……」
「そうか……」
車で行ける距離ということならエストリエからは出ていないだろう。
「相手のことは何かわかる?」
一つだけある扉に近づきながら菜乃に尋ねる。
菜乃は目を落としながらかぶりを振った。
「わからないけど、たぶん……」
「ああ、だろうな」
俺は納得しながら扉のドアノブを捻る。
当たり前だが鍵がかかっており、扉が開く様子はない。
ガチャガチャと音が鳴っているが、扉の向こうで変化はない。
誰もいないのか、居ても無視しているのはわからないが、俺達をここから出すつもりはないらしい。
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