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「畜生!!」
とんだ失態だ。
魔法が使えなければここから出ることもない。
腰に手をやるが当然そこにアリオンはない。
戦う術もなければ脱出する術もない。
「薬ってことはやっぱりあの組織か!!」
俺は吐き捨てるように叫んだ。
人を拉致しようとしていたこと。
魔法を封じるなんて薬を持っていることから、どう考えも悠斗さん達が追っていた組織だ。
寧ろ追う側にいたはずなのになんで捕まってるんだ。
自分の馬鹿さ加減に呆れてくる。
「そ、それから……」
怒りを露わにする俺に、菜乃がおずおずと声をかけてきた。
「その薬、毒性もあるから、これ飲めって男の人が……」
菜乃が上げている震える手には、二つの小瓶が握られており、中で怪しげな液体が光っている。
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