奔走

5/51
前へ
/2188ページ
次へ
「畜生!!」 とんだ失態だ。 魔法が使えなければここから出ることもない。 腰に手をやるが当然そこにアリオンはない。 戦う術もなければ脱出する術もない。 「薬ってことはやっぱりあの組織か!!」 俺は吐き捨てるように叫んだ。 人を拉致しようとしていたこと。 魔法を封じるなんて薬を持っていることから、どう考えも悠斗さん達が追っていた組織だ。 寧ろ追う側にいたはずなのになんで捕まってるんだ。 自分の馬鹿さ加減に呆れてくる。 「そ、それから……」 怒りを露わにする俺に、菜乃がおずおずと声をかけてきた。 「その薬、毒性もあるから、これ飲めって男の人が……」 菜乃が上げている震える手には、二つの小瓶が握られており、中で怪しげな液体が光っている。
/2188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27562人が本棚に入れています
本棚に追加