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毒の効果だ。
投与されてからどれくらいの時間が経つのかはわからないが、解毒剤を飲んでいないのだからいつこのような症状が出ても仕方がなかった。
俺はポケットの中に入っている小瓶に触れる。
これを飲まなければ、菜乃は……。
ポケットから小瓶を取り出し、蓋を開けて菜乃の口に当てる。
「菜乃!!これを飲むんだ!!でないと……!!」
菜乃は体を震わせたまま、力なく首を振って抵抗する。
「今は気にしている場合じゃないだろ!?飲まないと死ぬかもしれないんだ!!」
「でも……!!無理だよ……!!」
子どものように泣きじゃくりながら、菜乃はほとんど力の入ってない腕で小瓶を押し退ける。
菜乃の心中はわかっているつもりだ。
一度深く傷つけられたものは、例え良薬と言えど、口にしたくはないはず。
いくら飲まなければいけないとわかっていても、体が拒否してしまうんだ。
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