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リーダー格の男はニヤリと嫌な笑みを浮かべながら懐から銃を取り出した。
「何も聞くことは許さない。風穴開けられたくなかったら言う通りにしろ」
「……わかった」
俺は菜乃を支えながら男達に囲まれて、部屋を出た。
誰もいない通路を進んでいく。
通路は滅多に使われていない様子で、ゴミや廃材などが散らかっている。
たまに見かける開きっぱなしの部屋にはベッドや箱などが大量に積まれていた。
おそらくここは廃病院か何か。
薬の研究をやるんだ。
元々そう言う設備があるところを選んでも不思議ではない。
エストリエは広大なだけ、都市と言っても廃病院みたいな建物をいくつも存在している。
ただ、悠斗さんと優衣さんが調べていたのに、こんな都合のいい建物を見逃すというのは考えにくい。
それでも発見されないということは、捜索が入っても躱しているのか、転々と移動しているのかだが、それだけの行動力と緻密な計画を持った組織ということなのだろう。
俺と菜乃が連れてこられた部屋は、大きな部屋だった。
どうやら何部屋か壁を壊して繋げているようだ。
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